貞山・北上・東名運河事典
ていざん・きたかみ・とうな
11-(4)-①-a-(a) 松島『雄島』
▲渡月橋と雄島
松島湾(塩釜湾)内には、数多くの島が点在している。中でも、この雄島は特異。松島の奥深さを知る上で、ぜひとも訪れてほしい島。
現在、島の手前には、国道45号に接し広い波打浜駐車場(県営:有料)が整備されている。
その先の赤い欄干の渡月橋を渡ると、左右の石仏群が迎えてくれる。
その昔、松尾芭蕉は、同行の曾良とともに早朝に塩釜明神に参詣し、正午近くになり、船を雇って海上二里あまり先の松島の雄島に渡っている。
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抑ことふりにたれど、松島は扶桑第一の好風にして、凡洞庭・西湖を恥ず。東南より海を入て、江の中三里、浙江の潮をたゝふ。島々の数を尽して、欹ものは天を指、ふすものは波に匍匐。あるは二重にかさなり、三重に畳みて、左にわかれ右につらなる。負るあり抱るあり、児孫愛すがごとし。松の緑こまやかに、枝葉汐風に吹たはめて、屈曲をのづからためたるがごとし。其気色窅 然として、美人の顔を粧ふ。ちはや振神のむかし、大山ずみのなせるわざにや。造化の天工、いづれの人か筆をふるひ詞を尽さむ。
雄島が磯は地つヾきて海に出たる島也。雲居禅師の別室の跡、坐禅石など有。将、松の木陰に世をいとふ人も稀々見え侍りて、落穂・松笠など打けふりたる草の菴閑に住なし、いかなる人とはしられずながら、先なつかしく立寄ほどに、月海にうつりて、昼のながめ又あらたむ。江上に帰りて宿を求れば、窓をひらき二階を作て、風雲の中に旅寐するこそ、あやしきまで妙なる心地はせらるれ。
松島や鶴に身をかれほとゝぎす 曾良
(まつしまや つるにみをかれ ほととぎす)
予は口をとぢて眠らんとしていねられず。旧庵をわかるゝ時、素堂、松島の詩あり。原安適、松がうらしまの和歌を贈らる。袋を解て、こよひの友とす。且、杉風・濁子が発句あり。
十一日、瑞岩寺に詣。当寺三十二世の昔、真壁の平四郎出家して入唐、帰朝の後開山す。其後に、雲居禅師の徳化に依て、七堂甍改りて、金壁荘厳光を輝、仏土成就の大伽藍とはなれりける。彼見仏聖の寺はいづくにやとしたはる。
出典:おくのほそ道