貞山・北上・東名運河事典
ていざん・きたかみ・とうな
8-(2)-a 砂浜群落
汀線からクロマツ林までの砂浜は、内陸に向かって順に、ハマニンニク群落、コウボウムギ群落、ケカモノハシ群落、オニシバ群落となり、こうした群落の成立は砂の移動の程度と関係があるとされている。
ハマニンニク群落・・・汀線から50m前後の最も海に近い場所に成立する群落で、砂の移動が激しいところでもある。通常はハマニンニクの
みからなる単純群落であるが、コウボウムギ、ハマボウフウ、ハマヒルガオがまれに出現することがある。
▲ハマニンニク
▲ハマボウフウ
コウボウムギ群落・・・コウボウムギが優先し、ハマニガナ、ハマヒルガオを伴うことが多く、まれにウンラン、ハマボウフウ、ケカモノハ
シ、ハマエンドウ、オニシバ、コウボウシバが混在する。
▲コウボウムギ
ケカモノハシ群落・・・ケカモノハシが優先し、ハマエンドウ、コウボウムギ、ハ
マニガナ、ハマヒルガオを伴うことが多く、ハマボウフウ
などがわずかに生育する。砂の移動が少ない立地に成立す
る。
オニシバ群落 ・・・オニシバが優先し、コウボウムギ、ハマニガナ、ハマヒル
ガオ、コウボウシバを伴うことが多く、ときに、ケカモノ
ハシ、ハマエンドウが生育する。土壌湿度が高く、砂の移
動がほとんどみられない立地に成立する。
コウボウシバ群落・・・コウボウシバの単純群落である。砂浜内の凹地の土壌湿度
の高い、砂の移動の少ない安定した立地に成立する。
▲コウボウシバ
ハマナス群落 ・・・ハマナスが優先する低木群落である。この群落は、小面積で、限られたところにわずかにみられるのみである。
▲ハマナス
上記のほかに、ヤマアワ群落、チガヤ群落がある。これらはクロマツ林との境界に接して成立していることが多く、幅狭く出現する。砂の移動が少ない安定した立地に成立する。
出 典:『仙台湾海浜地域保全計画(学術報告編)』 平成11年3月 宮城県
画像提供:宮城県環境生活部自然保護課